コンテンツへスキップ

LP公開後30日でやる5つの計測設定|GA4とAB testの実装視点

LPを公開して、最初の30日で何を計測するか。多くの場合、GA4 を見るだけで終わってしまい、「アクセスはあるがCVRが上がらない」「数字の理由が見えない」となる。事業会社マーケが何度も遭遇する場面です。

結論から書きます。LP公開後の30日でやるべき計測設定は5つ。GA4 カスタムイベント/BigQuery export/ヒートマップ/AB testing ツール選定/Looker Studio ダッシュボード化。これを「Day 0-7 / Day 8-14 / Day 15-30」のタイムラインに配置すると、リソース有限の事業会社マーケでも実装が進みます。

この記事は、GA4 / BigQuery / AB testing を BtoB SaaS のLPで実装してきた事業会社マーケの立場から書きます。LP発注(LP制作の見積もりで聞くべき5つの質問LP制作の発注書テンプレート)から公開後の計測整備まで一連の流れを担当した経験から、本格運用に進む前の「30日地盤づくり」をまとめます。

過去のLP公開後にCVRが期待値を下回ったとき、計測設定が不十分で「どこで離脱しているか」が分からず、改善案を出せずに数週間を浪費した経験があります。事前の計測整備があれば、ボトルネックは初週で見えていたはずです。

※本記事には、A8.netを通じたアフィリエイトリンクが含まれます。読者の支払額は変わりません。詳細はサイトポリシーもご参照ください。


結論:5つの計測設定を最初の30日でやる

LP公開後の30日は、計測の地盤を固める時期です。地盤がないと、その後の改善議論が成立しません。設定の優先順位は「一度きりの設定 → データ蓄積基盤 → 補完計測 → 本格運用」の順に並べます。BigQuery export を Day 0-7 に前倒しするのは、早く設定すればするほどデータが溜まる構造のためです。

  • Day 0-7(計測基盤の確立):設定1 GA4 カスタムイベント/設定2 GA4 → BigQuery export
  • Day 8-14(補完計測):設定4 ヒートマップ(Microsoft Clarity)
  • Day 15-30(本格運用):設定3 AB testing ツール選定/設定5 Looker Studio ダッシュボード化

記事は時系列で読み進める構成です。30日の整備が固まったら、本格的な GA4 + BigQuery セットアップは別記事で詳しく扱います。本記事はその下準備として、まず手を動かす5設定を完成させる位置付けです。


Day 0-7:設定1 GA4 カスタムイベント設定(半日〜1日)

GA4 の自動収集だけではLPの挙動は見えません。公開直後のユーザー行動を取りこぼさないため、Day 0-7 で必須5イベントを仕込みます。

  1. page_view:自動収集、ページパラメータで LP slug を取得
  2. scroll:25 / 50 / 75 / 90 % のスクロール率
  3. click_cta:CTAボタン押下、data-cta-position 属性で位置別計測
  4. form_submit:フォーム送信(成功・失敗を分離)
  5. lp_completion:フォーム完了 = CV(最終CV定義)

ボタンに data-cta-position を仕込んでおくと、後で位置別CVRが追えるようになります。発注書段階でこの実装を要件化しておくと、納品物に最初から組み込まれます(LP制作の発注書テンプレート の A-3 計測ツール項目で記述)。

BtoB SaaS の場合は、商談予約の Calendly 連携で calendly_booked カスタムイベントを追加するのが現実的です。

過去にGA4の初期設定で30個近いイベントを定義した結果、後から「これは何を計測したかったか」が分からなくなった経験があります。最初は5-7個に絞り、必要に応じて追加する方が運用しやすい、と感じています。


Day 0-7:設定2 GA4 → BigQuery export(1〜2時間)

BigQuery export を Day 0-7 に前倒しするのは、早く設定すればするほど後の分析資産になるからです。GA4 の標準UIは便利ですが、細かい分析(クロス集計・ファネルの自由設計・SQLでの自由切り)には限界があります。BigQuery に流せば、そこから先は SQL で自由に切れます。

設定手順は1〜2時間で完了します。GCP プロジェクト作成 → 課金有効化(無料枠で十分)→ GA4 管理画面の「BigQuery のリンク」で連携、の3ステップです。無料枠は毎日 10GB ストレージ / 月 1TB クエリで、LP規模では到底超えません。

「BigQuery は重そう」と感じるかもしれませんが、最初は「データを溜めるだけ」で良いです。Day 30 時点で生データが揃っていることが、後の分析の起点になります。

BtoB SaaS なら、BQ のデータを Salesforce / HubSpot CRM と JOIN すれば LP流入 → 商談 → 受注を1本のクエリで追えます。本格運用の話で Pillar 2 で深掘りします。


Day 8-14:設定4 ヒートマップ(Microsoft Clarity)(15分)

ヒートマップは無料の Microsoft Clarity を推奨します。タグを1行コピペするだけで15分で導入完了、無制限・無料、Clarity Experiments(AB test 機能)まで統合されています。Day 8-14 に置くのは、Day 0-7 でGA4・BQ が動き出してから、ヒートマップを補完計測として加える順序が現実的だからです。

GA4 のスクロール率は「数値」、ヒートマップは「可視化」です。両方併用がBtoB SaaSでは現実解で、最優先で見るのは次の3つです。

  • ファーストビューの読了率:訪問者の何割が次のセクションに進むか
  • CTAクリック率(位置別):FV内・中段・末尾でクリック分布がどう違うか
  • フォーム入力途中離脱率:どの項目で離脱が起きるか

Hotjar / Ptengine / User Heat も選択肢ですが、Clarity が無料で機能が揃ってからは、まず Clarity を試して足りなければ他を検討する順序が合理的だと感じています。


Day 15-30:設定3 AB testing ツール選定 → 初回テスト(半日+1日)

AB testing を Day 15-30 に置くのは、最初の14日でベースラインCVRを観測してから仮説を立てる方が筋が良いからです。データが少ない状態でテストを走らせても、有意差判定が出るまでに時間がかかります。

Google Optimize Sunset 後の選択肢は分かれます。中立並列ではなく、状況別の推奨を書きます。

無料で始めたい場合:Microsoft Clarity Experiments

2024年リリース、無料、Clarity ヒートマップと統合、設定が簡単です。機能は限定的で高度なテストには物足りませんが、スタートアップ・検証段階のBtoB SaaSには十分です。既に Clarity を運用していれば、追加コストゼロで AB test を始められます。

本格運用したい場合:VWO または Convert

VWOはエンタープライズ向け、機能豊富、価格中〜高。多変量テスト・パーソナライゼーション・サーバーサイドABまで一気通貫です。Convertは中規模 BtoB SaaS で実用的、価格中堅、サポート手厚め。シリーズB以降で運用基盤を整える段階ならどちらかが現実解です。

参考:Optimizely / Statsig / Adobe Target

Optimizely は老舗、機能豊富で価格は高め。Statsig はサーバーサイド AB test が強く、エンジニア主導の組織に向きます。Adobe Target は Adobe Analytics と一体運用したい場合の選択肢です。

初回テストの設計例は、ファーストビューのコピーA vs B を 50:50 配信、CVR を 95% 信頼区間で見る、有意差判定まで2-4週間が現場感覚です。月1万PV未満は AB test より「逐次比較(変更前後の数字を見る)」の方が現実的です。

私自身、AB testツールを選ぶときは「すぐ始められるか」「サンプルサイズの目安が示されるか」「BtoB SaaSの少トラフィック環境で統計的に意味があるか」の3軸で判断するようにしています。BtoB SaaSのLPはトラフィックがB2Cほど多くないので、検出力を上げる工夫が運用品質を分けると感じています。


Day 15-30:設定5 Looker Studio ダッシュボード化(半日〜1日)

Day 15 時点で最初の14日のデータが溜まっています。ここで Looker Studio に繋いで、関係者と共有するダッシュボードを作るのが効果的です。データが溜まる前に作っても、空のグラフを見せることになり説得力が出ません。

Looker Studio の connector は GA4 でも BigQuery でも繋げます。柔軟性なら BigQuery connector、シンプルなら GA4 connector。BtoB SaaS では BigQuery 側の方が、後で商談化率まで含む KGI ダッシュボードへ拡張しやすいです。

ダッシュボードに置く必須7グラフは次の通りです。

  • 日次CVR推移(折れ線、7日移動平均付き)
  • 流入元 × CVR(テーブル)
  • デバイス × CVR(テーブル)
  • スクロール率分布(棒グラフ)
  • CTA位置別クリック率(テーブル)
  • フォーム入力ファネル(漏斗)
  • 週次CVR比較(前週比)

ダッシュボードができると、関係者との会話が「印象論」から「数字」に変わります。これが Day 30 までに整備しておくと効く理由です。

公開後LPのCVRやファネル指標をLooker Studioで可視化して関係者と共有するようになってから、「次は何を改善する?」という会話が自然と生まれるようになりました。データが見える場所があるかないかで、改善議論の質はまったく違う、と感じています。


5設定の優先順位 × 工数感(比較表)

5設定をフェーズ × 工数 × 必須度の3軸で整理します。

設定フェーズ工数感必須度
1. GA4 イベントDay 0-7半日〜1日必須
2. BigQuery exportDay 0-71〜2時間必須
4. ヒートマップDay 8-1415分必須
3. AB testingDay 15-30半日+1日推奨
5. Looker StudioDay 15-30半日〜1日推奨
※工数は実装経験ベースの目安。トラフィック規模により変動します。

必須3つを Day 14 までに揃えると、Day 15 以降の本格運用が走り始めます。推奨2つは時間が取れたら追加する形で良いです。

5設定の本質は「設定の優先順位」です。一度きりの設定(GA4イベント、BigQuery export)を Day 0-7 で済ませてしまえば、後はデータが自動的に溜まる構造になります。後出しよりも、最初の1週間で基盤を固める方がずっと楽です。


よくある質問

Q. GA4 だけで足りますか?BigQuery まで本当に必要?

最初の3ヶ月は GA4 だけで足りる場面もあります。ただ、後から BigQuery に繋ぐと過去データが取れません。「念のため Day 0-7 で BQ export を有効化してデータを溜め始める」のが安全側です。無料枠で動く以上、設定して損はありません。

Q. 月1万PV未満の小規模 LP でも AB test は意味がある?

有意差判定までに時間がかかるため、AB test より「逐次比較(変更前後の数字を見る)」の方が現実的です。Clarity Experiments で軽くテストを走らせる程度に留め、本格運用は PV が増えてから検討する流れが効率的です。

Q. Day 0-7 で全部やる時間がない、優先順位を1つに絞るなら?

設定1 GA4 カスタムイベントです。これがないと公開直後のCV計測そのものが成立しません。BigQuery export は後からでも繋げますが、GA4 イベントは仕込みのタイミングを逃すと初動データが取れなくなります。

Q. 計測整備は誰がやる?マーケが?開発が?外注クリエイターが?

発注書段階で「計測実装込み」と依頼するのが効率的です。事業会社マーケが GA4 イベント設計の仕様書を渡し、クリエイターが実装する分担が現実解です。発注書での項目化はN2記事で扱っています。


まとめ:30日で計測の地盤を固めたら、本格計測へ進む

5設定を再掲します。Day 0-7 で GA4 カスタムイベント / BigQuery export、Day 8-14 で ヒートマップ、Day 15-30 で AB testing / Looker Studio。30日でこの5つをやると、CRO の改善議論が「印象論」から「数字」に変わります。

LP制作の見積もりで聞くべき5つの質問で見積もり時のクリエイター見極めを、LP制作の発注書テンプレートで発注書での計測項目化を扱いました。本記事 N6 はその続編にあたる「公開後30日の計測整備」です。LP制作の外注先選びから続く一連の流れの中で位置付けると、外注LPでも数字が動かせる体制が組めます。

30日経って本格運用に進むなら、ここから先は GA4 + BigQuery の全社設計、SQL分析、ダッシュボードの全社展開の世界です。Pillar 2 で扱う計測の本論記事に進む下準備として、まずはこの5設定を完成させてください。

LP発注は「見積もり時の確認 → 発注書での項目化 → 公開後30日の計測整備(本記事)」という流れで連なります。事前準備が良ければ、公開後30日の整備もスムーズに進む、という関係です。30日経って本格運用に進むなら、GA4 + BigQuery の本格セットアップは別記事で扱う予定です。

本記事は2026年5月時点の情報です。料金・サービス内容は変更される可能性があるため、最終的な発注時には公式ページの最新情報をご確認ください。
2026-05-11 更新