LP制作を外注するとき、見積もりが3社から戻ってきたら、何で比較するか。多くの場合、価格と納期だけで決めてしまい、公開後に「思っていたものと違う」「数字が動かない」となる。事業会社のマーケを担当していると、この場面に何度も遭遇します。
結論から書きます。見積もり段階で5つの質問をすると、発注後の地獄を9割は防げます。質問する内容よりも、返ってくる回答のパターンで実力者と地雷案件を見分けられるからです。価格表を比べるより、この5問への返答比較の方がはるかに精度が高い、と感じています。
この記事は、LP発注を複数回行い、GA4 / BigQuery / AB testing で公開後の数字を見てきた立場から、発注側の判断軸として書きます。外注先の総合的な選び方はLP制作の外注先選びもご参照ください。
私自身、過去のLP発注で修正回数の上限を超えてしまい、当初予算より大きく膨らんだ経験があります。見積もりに「修正対応」とだけ書かれていたため、1回のカウント方法や上限超過後の単価を確認していなかったのが原因でした。
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結論:5つの質問で発注後の地獄を9割防げます
見積書のフォーマットは制作会社ごとに違いますが、横並びで比較するなら価格表ではなく、この5問への返答内容で比べるのが現実的だと感じています。
- 過去のLP実績を、CVRや成果数値とセットで見せられるか
- 今回の案件で参考にする予定のLPを持っているか
- ディレクション・要件定義は誰が主導するか
- 修正対応は何回まで料金内か、追加料金の発生条件は何か
- 公開後の改善対応(AB testing など)をオプションで持っているか
なぜこの5問かというと、見積もりに出る差は「成果に責任を持てる相手か」と「進行で揉めない設計か」に集約されるからです。価格・納期は誰でも比較できる以上、判断軸はこの2軸に絞ったほうが速いと考えています。本記事は「見積書を受け取った後、何を聞くか」に絞って書きます。
質問1: 過去のLP実績を、CVRや成果数値とセットで見せてもらえますか?
なぜこれを聞くか
LP制作のポートフォリオは「見た目の事例」が並びがちです。ですが事業会社マーケとして本当に知りたいのは、そのLPが公開後に何CVを取ったか、CVRは何%だったかという数字です。数字を持っていないクリエイターは、デザイン納品で仕事が終わると考えている可能性が高い、と感じています。発注後にCVRを動かす議論を一緒にできるかは、この一問でほぼ判別できます。
期待する返答
- 「業種が同じ事例で、CVRはX%でした」と数値で答える
- NDAで具体値が出せない場合も「CVRレンジで言うと中央値はこのくらい」と幅で返す
- 「自分のLPは平均でこの程度の数字に乗ります」と打率を把握している
ここまで答えられる相手は、公開後の数字への責任意識があり、案件ごとに振り返りをしている可能性が高いです。
警戒すべき返答
- 「数字は計測してないので分かりません」(運用前提が抜けている)
- 「クライアント側で測ったので、こちらでは把握してません」(GA4設定の引き継ぎがない可能性)
- ポートフォリオに数字が一切載らず、デザインのスクリーンショットだけが並ぶ
この場合、納品後の改善議論が成立しません。発注側にPMかマーケ担当が居て、自前で数字を見る体制がある前提でなら、選択肢には残せます。
CVRをすぐに出せるクリエイターほど、案件ごとに振り返りをしている傾向があります。逆に「制作だけが仕事」と切り分けるタイプは、この一問でほぼ見えてしまうのが質問1の重みです。
質問2: 今回の案件で参考にする予定のLPはありますか?
なぜこれを聞くか
参考LPを持っているクリエイターは「LPには型がある」ことを理解しています。逆に「ゼロから自由に作ります」と言うクリエイターは、構成設計で迷走するリスクが高いです。型を共有できれば、ワイヤーフレーム段階での認識ズレが小さくなります。最初の打ち合わせで「参考LPの有無」を聞くだけで、進行の地雷度はかなり見えます。
期待する返答
- 「業界が近いA社のLPと、構造が似ているB社のLPを参考にしたい」
- 「ファーストビューはこの形、CTAエリアはこの形が今回は合いそう」と要素ごとに分解して提示
- 参考LPの良い点と、今回の案件で変える点をセットで語る
警戒すべき返答
- 「クライアントの希望に合わせて自由に作ります」(型がない=迷走リスク)
- 「参考は特にないです、オリジナルで攻めます」(ベンチマークなしは危険)
- 参考LPを聞かれても、ファーストビューの離脱率やCVRの話に繋がらない(数字目線でLPを語れない)
デザインを「センス」で語り、構造で語らない相手は、要件定義段階で齟齬が発生しやすいです。
質問3: ディレクション・要件定義は誰が主導しますか?
なぜこれを聞くか
LP制作で揉める原因の多くは「誰が要件を固めるか」が曖昧なまま走り出すことです。クリエイター側がディレクションを持つのか、発注者側が要件を渡すのか、この線引きで進行スピードと納期が大きく変わります。見積書の時点で工程と分担を明示できる相手は、後からの追加請求が起きづらい、と感じています。
期待する返答
- 「キックオフでヒアリングシートを使って要件を引き出します」と進行の型を持つ
- 「コピーは私が書きますが、訴求軸は事業会社さんから出してください」と分担を明示
- 「要件確認のMTGは2回挟みます、その後デザイン着手です」と工程を時間軸で答える
要件定義の主導権を曖昧にせず明示できる相手は、進行が早く、再見積もりも起きにくいです。
警戒すべき返答
- 「全部お任せでも大丈夫です」(要件が後で噴き出すリスク)
- 「クライアントから資料いただければ、それベースで作ります」(受け身、提案がない)
- ディレクション工数が見積もりに含まれない、または「サービス」と書かれている
ディレクション工数を見積もり外にするクリエイターは、揉めたときに追加請求の温床になる、というのが現場感覚です。
過去いくつかのLP発注で、「誰がディレクションを持つか」を発注書段階で曖昧にしたために、要件確認のMTGが想定の倍以上に膨らみ、納期に影響した経験があります。発注書側で工程と分担を先に固めるだけで、こうした事態の多くは未然に防げると感じています。
要件定義を発注書側で先に固める方法はLP制作の発注書テンプレートで扱っています。
質問4: 修正対応は何回まで料金内ですか?追加料金の発生条件は?
なぜこれを聞くか
修正回数は見積もり比較で差が出やすい項目です。「修正対応します」とだけ書かれた見積もりは、後出しで「これは追加です」と請求される温床になります。回数と発生条件を見積もり段階で確定させるのが現実解だと感じています。
期待する返答
- 「デザイン2回・コーディング1回まで料金内、それ以上は1回X万円」と数値で明示
- 「テキスト軽微修正は無制限、構造変更は別見積もり」と種類で線引き
- 「公開直前のテストでの軽微修正は別途で、ここは料金内に含みます」と工程別に整理
修正の境界線を見積書に書ける相手は、進行が透明です。境界が文章化されていれば、進行中に揉める論点が減ります。
警戒すべき返答
- 「常識の範囲で対応します」(範囲が定義されていない)
- 「軽微なものなら無料、大きいものは要相談」(軽微/大きいの基準が曖昧)
- 修正回数欄が見積もりに項目として存在しない
「常識の範囲」型の見積もりは、後で揉めたときに発注者が不利になりやすいです。範囲は数値か工程で線を引いてもらうのが安全だと感じています。
リード冒頭で触れた経験を踏まえ、その後の発注では「修正回数のカウント方法」と「上限超過後の単価」を見積もり段階で毎回確認するようにしています。境界線が書面で引かれた発注では、追加請求で揉めたことはほぼなくなりました。
質問5: 公開後の改善対応(AB testing など)はオプションでありますか?
なぜこれを聞くか
LPは作って終わりではなく、公開後の数字を見て改善するのが本流です。AB testing や軽微な訴求軸変更を公開後オプションで持っているクリエイターは、数字に責任を持つ姿勢があるサインだと考えています。長期パートナーになれるかどうかも、ここで見えます。
期待する返答
- 「公開後30日のAB test 1本までを料金内オプションで持っています」と具体プランを出す
- 「CVRがX%を下回った場合は、無償で訴求軸変更案を出します」と保証ラインを置く
- 「Hotjar / Microsoft Clarity を仕込んで、ヒートマップから改善案を出します」とツール前提で答える
計測ツールを名指しできる相手は、公開後を本気で見ています。AB testing という言葉が会話で自然に出るかどうかも、簡単な判別材料になります。
警戒すべき返答
- 「公開後はクライアントさんで運用してください」(投げ放し型)
- 「改善対応は別契約になります」(最初から線を引かれる)
- AB testing という単語を聞いて、運用ツールを名指しできない
公開後オプションを持たないクリエイターは「制作だけの人」です。発注側にマーケが付き添う体力がないと、数字は動きません。
過去のLP発注で、公開後30日のAB testを料金内オプションで持っていたクリエイターとは、自然と継続案件に発展した経験があります。「制作だけ」と「制作+運用」の境界は、見積もり段階の一問でかなり見える、というのが現状の実感です。
発注後、自分の側でも数字を見ていくならLP公開後30日でやる5つの計測設定もご参照ください。
5つの質問への返答パターンで実力を見極める
5問の返答を束で見ると、価格表だけでは見えない「数字に責任を持つ姿勢」が浮かび上がります。下表は本論の要約です。
| 質問 | 期待する返答 | 警戒すべき返答 |
|---|---|---|
| 1. 過去LPの数字 | CVRを数値かレンジで提示 | 「計測してない」「クライアント側で測った」 |
| 2. 参考LP | 業界・要素単位で具体名を出す | 「自由に作ります」「参考なし」 |
| 3. ディレクション | 工程と分担を時間軸で明示 | 「全部お任せ」「資料ベース」 |
| 4. 修正対応 | 回数・種類で境界を数値化 | 「常識の範囲」「軽微なら無料」 |
| 5. 公開後改善 | 計測ツール・オプション具体化 | 「クライアントで運用」「別契約」 |
価格表の比較は誰でもできますが、5問への返答比較は事業会社マーケにしかできない判断軸です。この一手間で、公開後3ヶ月の数字が変わります。
よくある質問
Q. 5つの質問はメールと電話、どちらで聞くべき?
電話か、可能ならオンラインMTGの方が判別しやすいです。返答の即時性とニュアンスで実力が出るからです。メールは「準備された回答」が返ってきがちで、本音と乖離する場合があります。
Q. 見積書フォーマットは各社バラバラだが、横並びで比較する方法は?
価格表をそのまま並べる方法は、項目の粒度が違うため比較になりません。本記事の5問への返答内容を3社分メモして、回答の質で比較するのが現実解です。価格は最後に確認すれば十分です。
Q. 10万円以下の格安LPでも5問する意味はある?
あります。むしろ価格が低い帯ほど「数字を見る姿勢」と「修正範囲の定義」の差が出やすいです。安価な見積もりほど追加請求のリスクが見えづらいので、5問で線を引く価値が高いと感じています。
Q. 5問の回答が満点でも発注で失敗するパターンはある?
あります。事業会社側が「LPで何を達成したいか」を言語化できていない場合、クリエイターの実力に関係なく方向性が迷走します。発注前に自社のCV定義・KPIを揃えておくのが前提です。
まとめ:5つの質問で、価格表より精度の高い判断軸を持つ
5問のフレームを再掲します。①過去LPのCVR数値、②参考LP、③ディレクション主導権、④修正回数の境界、⑤公開後改善オプション。価格表より、この5問への返答パターンの方が実力を映します。質問を持って動き出すだけで、見積もり比較の精度は変わります。
本記事は2026年5月時点の情報です。料金・サービス内容は変更される可能性があるため、最終的な発注時には公式ページの最新情報をご確認ください。
2026-05-09 更新